要約
参謀は「戦略立案」と「実行」を担い、実行がより重要である。会社はどうあるべきか「ビジョン」を共有する存在となり、リーダーが最速で意思決定をできるように先回りをしなければならない。イレギュラーな場面で求めれるのが参謀であるから、与えられた仕事以外に「こんなふうになったらいいな」と思うことを実現させる経験を積もう。実行においてはトラブルが発生すること、人間関係が悪いことは割り切らなければならない。
抜粋
- 「戦略立案」と「実行」の二つはどちらも重要ですが、企業経営の現場で汗を流してきた私からすれば、より重要性が高いのは間違いなく「実行」です。
- タイヤは国際規格品であるため、国境という「壁」がありません。”Cut Throat Business”(喉をかき切るビジネス)といわれるように、世界中のメーカーが”食うか食われるか”の熾烈な戦いを繰り広げる業界です。
- そもそも、組織における出世などいい加減なものです。ほとんどが、たまたまそうなっただけ。たまたま、自分の直属の上司が出世したから、それに引っ張られて自分も出世した。たまたま、年次的に適任者がいなかったからお鉢が回ってきた。そんなものです。
- その後、私を怒鳴った工場幹部の気持ちもよくわかるようになりました。業務経験を重ねるなかで、工場現場が抱えている”どうしようもない現実”を知るようになったからです。
- リーダーの「先回り」をしなければ、参謀の役割は果たせません。リーダーの進む方向を見極めて、リーダーが最速で進めるように、「先回り」して準備できなければならない。
- 参謀が、意思決定に必要な材料をすべて揃えて提示する必要がある
- そもそも、会社というものはゲマインシャフト(家族や村落など感情的な結びつきを基盤にした集団)ではなく、ゲゼルシャフト(目的達成のために作為的につくりあげた集団)です。もともと感情的な結びつきをベースに集まった集団ではないのですから、そのような場所で「相性」の問題を持ち出すこと自体がふさわしくない。それよりも、目標達成に集中すべきなのです。
- 仕事のスタイルも上司に合わせるのが当然
- ルール(手続き)を遵守するのはビジネスの原理原則
- 「トラブル」は順調に起きる
- トラブル報告を受けると、感情的に反応する上司がいるものです。私にすれば、言語道断。「何のために、あなたは部下より高い給料をもらっているのか?」と問い詰めたくなります
- 「自分は価値のある存在である」という自尊心を傷つけられた人は、必ず相手に「敵意」を抱く
- 第一に、現場を理解しているか? 現場感覚があるか? 第二に、誰の話をも傾聴し、自分の考えが他者から共感を得られるように努力しているか?
- 「全体最適」を考えるのが経営であって、部門ごと、担当者ごとの「部分最適」にこだわる人は参謀としては不適格
- 「全体最適」を図るとは、社内に存在するさまざまな利害を「調整」することではない。(略)なぜなら、そこには、「会社はどうあるべきか?」というビジョンがないからです。この「ビジョン」を高いレベルで描けていない人物とは、対話そのものが成り立たない
- 企業を取り巻く状況、時代の流れ、業界の歴史などを把握したうえで、「自社のあるべき姿=ビジョン」をトップと同じレベルで思い描くことができない人物が、参謀として認められることはない
- 若いころから、直属の上司のみならず、社内の上層部との接点を増やし、会食などの場も含めて、彼らが語る「ビジョン」に触れる機会をつくることは、非常に重要なことと言えるでしょう
- 「実行」に結びつけるのが参謀の大事な役割ですから、単なる”事情通”や”批評家”では、参謀が務まらない
- 大切なのは、目の前の仕事において、自分なりの「理想」や「ビジョン」を思い描いて、周囲の人たちを巻き込みながら、それを実現する経験を積み重ねること
- 「こんなふうになったらいいな」を実際にやってみる
- 別の言い方をすれば、もっと仕事を楽しめばいいのです
- イレギュラーな局面で求められるのが「参謀」である
- 若いころから、自らイレギュラーなことを生み出すことで、参謀に求められる重要な能力が、自然と磨かれる
- 「原理原則」を思考の軸とする
- 「問題をきちんと述べられれば、半分は解決したようなものだ」これは、アメリカの発明家であるチャールズ・ケタリングの言葉ですが、まさにその通り。絶対に逸脱してはならない「原理原則」という制約を受け入れることによって、問題を明確に設定することさえできれば、なんらかの解決策は必ず見えてくる。
- 「人間関係は悪いのが普通」と思って、淡々とやり抜く以外ない
- 参謀が判断をするときには「政治」を軸にするのではなく、「原理原則」を軸にしなければなりません。(略)そのようなスタンスを誠実に徹底していれば、対立する派閥からも、「あいつはフェアな人間」だと認識してもらえるはずです。
- 上司に命じられた仕事をやるだけでは、どうにもつまらない。だから、私は、「こんなことができたらいいな」という想いを実現することに面白さを見出しました。それまでになかったアイデアを実現することで、会社に貢献することに「やりがい」を見出すようになったのです。
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